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2027年度卒引退ブログ

2025/12/16 2025/12/16

【ID27 松浦 海斗】文武遊道

おはようございます。
平素より大変お世話になっております。国際基督教大学サッカー部3年の松浦海斗です。

先日、ICUサッカー部を引退させていただいたみたいです。
かっこいいことを書こうと考えたのですが、疲れたので率直に思ったことをここに記します。読んでいただけたら非常に嬉しいです。


まずは、日々支えてくださった保護者の皆さま、応援してくださったすべての方々、先輩方、後輩たち、そして監督・コーチの皆さまに、心から感謝申し上げます。改めて振り返ると、入学当初の自分からは想像もできないほど、素晴らしい環境の中でサッカーに向き合うことができました。今でもこの環境でプレーできたことを、誇りに思うと同時に、本当にありがたく感じています。


正直に言えば、入学当初は大学でサッカーを続けるつもりはありませんでした。「高校までやり切った」そう思っていました。大学では少し肩の力を抜いて、テニスをもう一度始めて、新しい生活を送る。ほどほどに運動して、夜は友達と飲み。息を抜いた大学生らしい生活を、なんとなく思い描いていました。


テニスでワンチャン化ける未来も、なくはないと思っていました。
そんな甘ったるい自分の計画を、あっさり崩したのが、体育の授業で出会ったヤセオでした。彼はいわゆる別次元のレベルで戦ってきた人間だったみたいですね。ある体育の日、どうせなら一回サッカー部、顔出してみたら?と声をかけてくれました。本当に顔出しのつもりでした。とりあえず見学してみようという気持ちで行きました。


ところが、グラウンドで目に入ってきたのは、想像以上に真剣な空気でした。中でもステップという男。パス一本にまで妥協がなく、時には切れたり、ミスったらイライラした顔を常に浮かべる。「ガチ」という言葉が、似合う人だったのではないでしょうか。


全員が互いに厳しい声を掛け合い、「勝つため」にそこに立っているのが、嫌というほど伝わってきました。
その場には見学者として、後にお世話になるマネージャーのウチダ氏もいて、彼女は自分のように「見るだけ」ではなく、チームのためにすぐに立ち上がり笑顔と共にフィールドを全速力で走り回っていました。全速力で。その瞬間、はっきりと分かりました。


ここは、生半可な気持ちで来る場所じゃない。
一度、冷静に考えました。朝練、4時起き、週6日。正直、無理だと思いました。「そんな生活をして、何になるんだろう」と思ったのも事実です。しかし、気づいたら練習会に参加していました。やっぱりサッカーが好きだったのでしょう。

今思うともう一度、みんなみたいに本気で一つのことに打ち込みたいという気持ちが強かったと思います。楽な選択肢がある中で、あえて楽じゃない方を選ぶなら、今しかない。そう思って、覚悟を決めました。

 

朝練に向かう道で、自転車で何度も転びました。痛いし、家から遠いし、朝早いし、「間に合わなきゃいけない」という焦りだけで、体を動かしていました。大学ではサッカーをやらないつもりだった自分が、いつの間にか、サッカー中心の生活を送っていました。



やらかし

この季節がやってまいりました。今からちょうど2年前、東京カップ1回戦。(ID25先輩引退試合)。後半、同点の場面で途中出場。ポジションは中盤。そしてその瞬間は、突然やってきました。

エース・芦澤からの完璧すぎるボールが、ゴール前にこぼれてきたのです。ゴールとの距離、約5メートル。相手DFの焦った顔。キーパーの慌てたステップ。思い返すだけで震えます。

そして、インサイドで触れた瞬間、頭をよぎったのは、まさかの弱気。「……外すな、これ。」ボールはゴールを越え、どこまでも空高く旅立ちました。(気持ちかったです)PK戦までもつれ込みましたが、試合は敗戦。あの瞬間の悔しさは、今でもはっきり覚えています。やらかしました。この場を借りて、改めて芦澤様、皆さまに心よりお詫び申し上げます。

 

濃すぎた二年次

そこから、「2年生では、もっとフィールドで戦う」と決めました。
新監督就任。ポジションをディフェンスラインに変え、ロングパスを武器にしようと挑みました。迎えた初戦でスタメン入りしたものの、結果はボロ負け。続く試合も負け。勝ち方も、チームへの貢献の仕方も分からず、次第にスタメンから外れていきました。周りが次々と覚醒していく中で、自分だけが取り残されている感覚。有元監督には「海斗だけ覚醒しなかったね」と言われた言葉は、正直かなり刺さりました。なぜサッカーを続けているのか、この先に何があるのか、分からなくなった時期もありました。


やはり、楽しいことばかりではありませんでした。
高校の時のサッカーの仲間は全員サッカーを続けることなく、サークルや遊びなど大学生らしい生活を送っていました。大学生だよ?サッカーだけでいいの?と言われた時、どこか確かにと思ってしまうことがありました。普通に遊びたい、飲みに行きたい。そこから高校の仲間と飲みにいくことが増えていきました。普通に二日酔いのまま練習に行ったこともあったでしょう、、。非常に情けないです。毎日が忙しすぎた日々だったからこそ、徐々に中途半端になってしまいました。


それでも、やめなかった理由ははっきりしています。
仲間がいたからです。勝てなくても、ボコボコにされても、同じグラウンドに立ち続ける仲間がいました。スタメンじゃなくても、試合に出られなくても、全力で向き合っている人たちがいました。一緒に切磋琢磨してくれる最高の仲間がいました。全力で支えてくれるマネージャーがいました。そして何より、サッカーをしている時間が、やっぱり好きでした。


大学生活は、先輩も言っていた通り思っているよりずっと早く終わります。
だからこそ、何に時間を使ったかは、後から確実に自分に返ってきます。常にアクティブで、何かに打ち込む。綺麗事かもしれないけれど、後悔しない選択を積み重ねることは、間違いじゃなかったと今は思えます。果たして、大学でサッカーをやる選択は正解だったのか。胸を張って「正解だった」と言えます。


早朝4時、起きてから何をしているのかと考えた5分間、勝てなかった試合も、悔しさも、思うようにいかなかった時間も含めて、すべてが自分の大学生活でした。
可能性がある限り、挑戦し続けた。逃げずにグラウンドに立ち続けた時間は、確かに自分の中に残っています。それだけで、この3年間には十分な価値があったと思います。この経験を胸に、これから先の人生でも、迷ったときにはまた「楽な方ではない選択」をしていきたいと思います。


最後に、ここまで一緒に戦ってくれた仲間、日々支えてくださったスタッフの皆さま、そしてこのチームに関わってくれたすべての方々に、心から感謝します。


いつも優しく、時には厳しく背中を押してくださった先輩方。サッカーだけでなく、人として大切なことを、プレーや言葉で示してくれました。また、常にチームを面白い方向へ引っ張り、さまざまな場所へ連れていってくれた先輩方のおかげで、このチームで過ごす時間は、かけがえのない思い出になりました。


常に頼もしく、心から尊敬できる後輩たち。どんな状況でも前を向き、全力でサッカーに向き合う姿に、何度も刺激をもらいました。みんなの存在が、チームの未来そのものでした。本当にありがとう。


そして何より、ともに最後まで走り続けてきた「27」のみんなへ。
肝臓からサッカーに対する姿勢まで尊敬するみんなのおかげで最高の大学生活を送ることができました。本当にありがとう。

これからは一人のOBとして、テニスラケットを握りしめてICUサッカー部の挑戦と成長を、心から応援し続けます。
本当にありがとうございました。

 

国際基督教大学サッカー部

3年 松浦海斗