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2027年度卒引退ブログ

2025/12/27 2025/12/29

【ID27 中村 元信】仲間がくれた、走り続ける理由

「入試方式が特殊だからワンチャン狙って受けてみたら?」
高校3年の1月、兄のこの一言が自分をICUFCへと繋いだ。その一言のおかげで最高のチームに出会えたのだから、兄にはもちろん感謝はしている。ただ、家では散々パシリにされてきた身としては、素直に頭を下げるのも少し悔しい。

ICUに入学した当初、正直サッカー部に入るつもりなど微塵もなく、部活体験もただ友達を作るためだけに参加した。しかしその日、既に入部を決めていた同期のたろう・さとる・かんと・かずまに出会った。過ごしてきた高校生活は全然違えど、4人とも入学前から練習に参加し、4月から始まるリーグ戦のスタメンを目指して頑張っていた。普段は一発芸やよくわからないノリで永遠にふざけているのに、部活が始まると全員が顔色を変え、ギラギラしていた。 

「自分もこの同期と一緒に頑張りたい」

そんな感情が込み上がってきて、入部を決めた。4月が終わり、気づけば同期の数はさらに増え、スタメン争いに食い込もうとするみんなのギラギラも増していった。朝練前にみんなで早く集まって自主練をしたり、学年対抗の紅白戦をやってもらえるよう当時の監督に頼んだりするほど、みんな気合いに満ちていた。もちろん「試合に出たい」という思いはあったが、なによりも27で一緒に過ごす時間が楽しかった。だから、朝練前の自主練のために電車の時間を一本早め、わざわざ始発に乗るなどという狂気じみたことができたのだと思う。その自主練には同期マネージャーも来ていたのだが、正直、彼女たちが一番狂っていると思う。でも、それほどまでに27は最高の仲間だったのだと思う。何度も旅行に行き、そのたびに仲が深まった。車を擦ったり、二日酔いで旅行最終日を棒に振ったり、飲んでいる最中に泣き始めたり、いろんな思い出ができた。でも、そこに現れる本音と差し伸べられる手の多さを見るたびに、同期の優しさに触れ、もっと好きになった。

ICUFCに入って一番良かったことは、間違いなく同期に出会えたことだ。

  ICUFCでの3年間は、ケガに悩まされた3年間でもあった。中学で一度サッカーを辞め、茶道部で高校3年間を過ごしたことが仇となり、1年生の時は体が大学サッカーのレベルに耐えきれず、何度もケガをした。夏には足首の骨折もした。復帰しては離脱を繰り返し、1年のうちの半分ほどは見学していたかもしれない。 2年生になるとケガの回数は減ったものの、本調子とまではいかなかった。それでもようやく調子が上がり、いよいよ全力を出せそうだと感じ始めた矢先、試合中の相手との交錯で再び足首を骨折した。マネージャーに足首をアイシングしてもらいながら、ベンチで泣いたことを今でも覚えている。 3年生になってケガの頻度はかなり減ったとはいえ、ケガと付き合い続けた3年間だった。

離脱している期間は、悔しさや怒り、悲しみなど、さまざまな負の感情を抱いた。そんな中で、1年生の時、とても大切なことに気づいた。ICUFCには、試合に出ている選手以上にチームに貢献している先輩たちがいた。登録メンバーに選ばれなかった人たちだ。ある先輩たちは人間メガホンとなり、フィールド内で一番大きな声で仲間を鼓舞し、またある先輩たちは審判をしていた。悔しい気持ちを押し殺しながら、チームのために何ができるのかを考えて行動していた。その姿は、とても強く、かっこよく見えた。

それから自分が幹部になり、引退するまで、常に「応援されるに値する選手」であることを目指した。そのために、言葉ではなく、何よりもまず行動で示すことを意識した。先輩方のようにできたかはわからないが、やれることはやったのではないかと思う。

ケガをしたからこそ、チームへの貢献の仕方は一つではないことに気づけた。今では、ケガをしたことも悪くなかったと思えている。サッカーはどうしても成果主義や実力主義的な側面があり、それを否定するつもりはまったくない。むしろ、それも大切だと思う。

ただ、ICUFCで自分は試合に出ることや勝つことだけでなく、それ以外の人の想いや勝利に至るまでの過程の大切さを学ぶことができた。ICUFCのこのメンバーだからこそ、頑張ろうと思えた。このチームに入って本当に良かった。ICUFCで過ごした時間は、気づけば自分の大学生活そのものになっていた。

また、どんな時も見守り、支えてくださった保護者の皆さま、そして日々の練習や試合を支えてくださったOBOGの皆さまの存在がなければ、ICUFCは成り立たなかったと思います。直接言葉にする機会は少なかったですが、心から感謝しています。

応援されるに値する選手でありたい。
その思いは、サッカーだけでなく、人としての自分に向けて今後も持ち続けたい。
ICUFCで学んだのは、結果以上に過程や想いであった。

この3年間で得たものを胸に、次の場所でも自分なりに走り続けます。
本当にありがとうございました!

中村 元信