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2026年度卒引退ブログ

2024/12/01 2024/12/01

【ID26 馬淵遥南】私がここを選んだ意味

日頃より、国際基督教大学サッカー部への多大なるご支援をありがとうございます。

ICUFC マネジャーの馬淵遥南です。

引退までの2年半、大学生活に彩り豊かな思い出をもたらしていただきました。

なぜ、私がICUFCという環境を選んだのか。

なぜ、私がICUFCという組織の一員であり続けたいと望んだのか。

私がここを選んだ意味について、引退ブログの場をお借りして綴りたいと思います。

はじまりは、団体スポーツを経験してみたいという単純な理由でした。

初めて訪れて見たトレーニングの光景は、中高生活で経験できず憧れを抱いていた部活動そのものでした。土砂降りの雨の中、シーズン開幕を目前に練習に打ち込む選手の姿がありました。傘をさす間もなくフィールドを駆け回り、サポートに徹するマネージャーの姿には、チームを第一に思う情熱と潔さが見えました。この場所で、チームスポーツに全力を注ぐ大学生活を送りたい。いつか、憧れの先輩マネージャーに近づきたい。その想いが、いつしかICUFCというチームの力に、一助になりたいという原動力になっていました。

 

1年目、私はICUFCという環境が好きだから、何事にも全力で向き合いました。

円陣と共にチームのギアが1つ上がる瞬間、試合開始前の緊張感に包まれる瞬間、相手に得点を許した時の悔しさが滲む瞬間、絶えず聞こえる声援に応えたいと再び立ち上がる瞬間、ゴールが決まった時の喜びと安堵を分かち合う瞬間。時には困難な状況に立ち向かい、時には他愛もないことで笑顔を交わす、このオンオフのある「チーム感」が私はとても好きです。

そして、数多の輝かしい景色の裏には、仲間のために身を捧げる姿や、応援されるチームとして相応しい振る舞い、毎日の小さな努力の積み重ねがあることを教えていただきました。次第に、私には何ができるか、私だからできることは何か、を模索するようになりました。「マネージャーのすべきことは何か、一人ひとりが自分で正解を見つけるもの。」先輩が2年前の引退で残してくださった言葉に、当時の私は背中を押され、その後何度も救われ励まされてきたことを思い出します。

 

 

2年目、私はICUFCという環境が大切だから、真剣に悩み葛藤しました。

初夏、思うように成績が振るわず苦しい状況が続く中、誰一人背を向けず前に進む粘り強さがありました。7月の東工大戦、引き分けを持ち越した後半で遂に点を決め、1-0で勝利を収めた時の歓喜、観客共に一体となって味わった感動は、記憶に強く残る場面でした。「俺たちの代で、もっと上を目指せる気がする」と期待を膨らませ語り合ったことは、今でも忘れられない同期との大事な思い出です。

一方、シーズン折り返しを迎えた頃から、どこかで「このままICUFCに全力を捧げることは難しいかもしれない」と思ってしまう自分がいました。学業や課外活動、進路選択、、貪欲で負けず嫌いな私は、自分で掲げた目標や理想の姿に近づくために必死で、目の前の様々なタスクに追われていました。1年生の頃に先輩に憧れ、思い描いたマネージャー像からは、到底かけ離れているように感じていました。

「部活の所属の仕方を変えさせていただきたい」私は人に弱みを見せることが苦手だから、悩みを打ち明け、この決断に至るまで、あまりにも時間がかかりました。それでも近くには、パスタを振る舞って話を聞いてくれたり、ロイヤルホストで相談に乗ってくれたり、スタバで作業中の私にそっとクッキーを渡して心配してくれる、そんな心優しい仲間の存在がありました。「遥南の大学生活なんだから、自分で決めていいんだよ」と後押ししてくださった先輩、身勝手な選択にもかかわらず受け入れてくれた部員の皆さんには、本当に感謝しています。

 

3年目、私はICUFCに感謝を伝えたいから、使命を果たすことに努めました。

最終シーズン、自分の中で決めた約束が2つありました。1つは、部署の仕事をやり抜くこと。日々のトレーニングにコミットしきれない分、部署を通じてチームビルディングの機会を創出することに励みました。ICUFCの「チーム感」が好きだからこそ、部員間のコミュニケーションを引き出し、縦横の繋がりを醸成できたらという密かな想いがありました。

2つ目に、「察する力」で誰かを支えること。しばし日本が「察しの文化」と謗られるように、私自身も肯定的な印象を持てなかったものですが、マネージャーを経験する中で、「察する力」こそチームを支える術になることを学びました。一つひとつの緻密なケアが、間接的にでも部員の励みに、組織の助けに、勝利への後押しになることを信じていました。

ICUFCで夢を分かち合い、目掛けた未来に対して、私達が実際に叶えられた数は僅かだったかもしれません。泥濘るんだ地面に顔を伏せ落ち込んだ時、「どうすればいいのか」と呟き途方に暮れた時、誰にも見られない場所で静かに涙を流した時。彼らが苦難と闘う側で、いつも通りに「おはよう」と挨拶を交わし、トレーニングの準備をして、「ゼッツー終わったらちゃんと片付けるんだよ」と声をかけて帰る。代わり映えのない振る舞いが、ふとした時に「いつもと変わらない場所、自分が好きな場所」と思い立ち返る要素になればと考えていました。

私がICUFCを選んだ意味。私がICUFCの一員であり続けたいと望んだ理由。

私はICUFCという環境が好きで、大切で、喜怒哀楽と共に沢山の成長の機会を与えていただいた場所だから。これが全てだと思います。

マネージャーとして求められることに対して、100%で応えることができたかと聞かれれば、そうではなかったと思います。部員、同期、マネージャーの皆さんには、迷惑や負担をおかけしてしまう場面もありました。私の意思を聞き入れ、部員として受け入れてくれた皆さんがいたから、今こうしてICUFCへの想いを綴ることができています。そして、このチームで皆さんと共に戦うことができたことを誇りに思います。目の前の相手に負けない、自分自身に打ち勝つ。これを体現している選手の姿を見て、私自身も感化され、常に刺激をもらっていました。チームのために、限界を超えていく。今この瞬間にできることを見つけ出し、実践していくマネージャーやスタッフの皆さんから、日々学ばせていただくことばかりでした。どこまでも自分と向き合い、仲間と高め合い続けるこの環境が、気付けば大事な私の居場所になっていました。

 

最後に、私がICUFCという場所を選んだから、気づき得られたことについて。それは、当たり前のことが当たり前ではないということ。ICUFCに入部してからこれまで、「感謝を忘れないで」「当たり前と思わないで」「振る舞いで示そう」常に誰かが言葉にしていました。私達がチームとして目指す「勝利」の根底には、日々のトレーニングの積み重ねだけでなく、それを指導する人、支える人、鼓舞する人がいる。90分という戦いを繰り広げる地では、場を創る人、動かす人、応援する人がいる。今ある環境が当たり前ではないことを自覚して、今いる場所で自分が最大限できることを全うする。ICUFCを離れ、新たな環境に飛び込む時、私はここで学んだことを思い出せる人でありたいです。

これまで共に戦ってくれた後輩の仲間たちが、ICUFCにしかないこのチーム力を繋ぎながら、次なる戦いの舞台でも強く逞しく活躍していくことを心から願っています。そして、一緒に夢を語り、励まし合い、時にぶつかり、時に笑い転げあった同期の皆んな、まるで足並みの揃わない粒違いな私達だけど、互いに補い合って苦楽を共にできたことを心から嬉しく思います。ICUFCを選んで、皆んなに出会えて、マネージャーを続けられたことが、私の幸せです。

 

ICUFCでの、かけがえのない日々に、沢山の感謝を込めて。

今までありがとうございました。

 

馬淵遥南